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幕内 恵三
ポリマーダイジェスト, 51(12), p.84 - 104, 1999/12
放射線滅菌される医療用具や食品包装材と原子炉等で使用される電線被覆材料などの耐放射線性とその改善方法について解説した。放射線によるポリマーの性能劣化・物性劣化の原因は、橋かけと分解であり、特に酸化が主たる原因である。電子・イオン捕捉剤、エネルギー移動剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤等による放射線劣化制御を放射線反応初期過程におけるラジカルの生成の抑制の観点等から整理した。ポリ塩化ビニルでは可塑剤による着色防止効果を塩酸吸収と分子運動性と関連づけ、ポリプロピレンの放射線劣化ではモルフォロジーと関連づけて解説した。これらの放射線劣化は、既存副資材の配合で防止できることを強調した。さらに、ポリアリルエーテルエーテルケトン等の芳香族系高分子の耐放射線性を紹介した。
長谷川 伸; 竹下 英文; 吉井 文男; 幕内 恵三; 西本 清一*
IAEA-TECDOC-1023, p.413 - 424, 1998/06
廃プラスチックの再資源化のため、ポリプロピレン(PP)とポリオキシメチレン(POM)の放射線とゼオライトとの併用による熱分解について研究した。ゼオライト存在下で照射したPPは、熱分解が100Cも低い温度から開始した。その場合の空気中照射では、熱分解生成物に酵素を含むチトン類などの有用物質が得られた。POMに対しては、ゼオライトが照射後の熱分解に有効であることがわかった。ゼオライトは、照射POMの分解の開始温度のほかに、分解の終了温度を著しく低下させることができた。これら照射ポリマーの熱分解にはゼオライトの構造が著しく影響した。
吉井 文男; A.Sudradjat*; D.Binh*; 幕内 恵三; 西本 清一*
Polym. Degrad. Stab., 60, p.393 - 399, 1998/00
被引用回数:7 パーセンタイル:33.28(Polymer Science)相溶化剤は2つのポリマーをブレンドするときに両者の相溶性を改善するのに添加する。生分解性ポリマーとポリプロピレン(PP)とのブレドに効果的であった水添スチレン・ブタジエンゴム(HSBR)及びPPに無水マレイン酸をグラフト重合した相溶化剤をPP単独に添加すると、耐放射線性を著しく改善できる事実を見出した。PPには照射中と照射後の保存中の2つの劣化があるが、このような相溶化剤を5%添加すると、50kGy照射後6ヵ月を経過しても劣化はほとんど起こらないことが分かった。また、HSBRはPPの透明性も改善した。構造は、単斜晶系とスメチック構造との混合結晶であることを推定した。
G.Meligi*; 吉井 文男; 佐々木 隆; 幕内 恵三; A.M.Rabie*; 西本 清一*
Polym. Degrad. Stab., 57, p.241 - 246, 1997/00
被引用回数:4 パーセンタイル:24.45(Polymer Science)ポリプロピレン(PP)の電子線照射後のキセノン照射中の分解を促進するため、種々の合成ゴムをPPに添加した。ブチルゴムとポリイソプレンゴムを3%程度添加することによりPPの透明性が向上した。この少量のゴム添加は、伸びと分子量測定から電子線の照射中及びその後のキセノン照射中の劣化を著しく促進した。ゴムは化学発光分析からPPに高い酸化を与えるため分解を促進した。本研究により使用前に予め照射し、使用後不用になった時は、自然環境下で短時間で分解する環境調和型ポリマーが得られた。
W.Zhao*; 長谷川 伸; 藤田 潤; 吉井 文男; 佐々木 隆; 幕内 恵三; J.Sun*; 西本 清一*
Polym. Degrad. Stab., 53, p.129 - 135, 1996/00
被引用回数:53 パーセンタイル:87.4(Polymer Science)廃プラスチックの放射線処理法の有用性を明らかにするために、まず5種類のゼオライトを使い、ポリプロピレン(PP)の熱分解について検討した結果、次のような事実を見出した。1)水素イオンをカウンターイオンとするHYタイプのゼオライトがPPの熱分解温度を下げるのに有効であった。2)PPの10%を分解する温度が、1%のHYタイプゼオライト添加で、130C低下して、260Cになった。3)350Cの等温熱分解で、1%のゼオライトを添加すると、PPの100%が25分で分解した。ゼオライトなしでは、同じ温度で同じ分解時間で10%しか分解しない。4)ゼオライト存在下の熱分解では、炭素数が3~9のものが生成するが、ゼオライトなしでは、C~Cと広い分布をもっていた。
W.Zhao*; 長谷川 伸; 藤田 潤; 吉井 文男; 佐々木 隆; 幕内 恵三; J.Sun*; 西本 清一*
Polym. Degrad. Stab., 53, p.199 - 206, 1996/00
被引用回数:21 パーセンタイル:65.04(Polymer Science)ポリプロピレン(PP)の熱分解への照射の効果を明らかにするために、(1)照射PPとゼオライトを混合した熱分解 (2)PPと照射ゼオライトを混合して熱分解 (3)PPとゼオライトを別々に照射して混合し熱分解 (4)ゼオライト存在下でPPを照射し熱分解、について検討した結果、(4)の方法がPPを最も低い温度で熱分解できた。照射PPの熱分解に有効なゼオライトは、Na-モルデナイトタイプであり、前報(PPの熱分解へのゼオライトの効果)の未照射PPの熱分解に有効なゼオライトとは異なった。熱分解生成物は、炭素数が9と12とで全体の60%を占めた。また、生成物のすべてがカルポニル基を含むものであった。
Manaf, I.*; 吉井 文男; 幕内 恵三
Angewandte Makromolekulare Chemie, 227(1), p.111 - 120, 1995/05
被引用回数:2 パーセンタイル:17.14(Polymer Science)不活性ガス雰囲気中で前照射した2.5%のエチレン鎖を含むポリプロピレン粉末の熱成形により得たシートの透明性と照射効果を調べた。前照射により分岐構造ができるため成形中に微結晶が生成して、成形シートの透明性が改善できた。透明性は前照射線量の増加とともに顕著に向上した。40kGy以上照射した試料は、透明性改良剤を添加したポリプロピレンよりも透明性がよくなることが分かった。さらに、前照射粉末試料より得た成形シートの照射効果を検討した結果、前照射により生成した分岐構造が、溶融成形後の結晶化中にラメラ間を結ぶタイ分子鎖数を増加させた。そのため成形シートの照射による伸びの低下が少なく、耐放射線性もよくなることが分かった。
吉井 文男; G.Meligi*; 佐々木 隆; 幕内 恵三; A.M.Rabie*; 西本 清一*
Polym. Degrad. Stab., 49, p.315 - 321, 1995/00
被引用回数:36 パーセンタイル:82.08(Polymer Science)エコマテリアル研究の一環として、高分子材料を照射により自然環境下で、速やかに分解する研究を行っている。用いた材料は、プロピレン単独重合体(PP)と造核剤(0.1%)の含むPPである。照射したPPの分解性は、地面より10cmの所に貯蔵したもの、地面及び屋上に暴露して行った。その結果、屋上での暴露試験が最も分解しやすかった。100kGy照射したPPは、照射前の分子量4.4910のものが照射により、2.810に低下し、5ヵ月間の暴露試験で3.810と1/10に低下した。造核剤添加PPは、伸びから評価した分解性は、PP単独よりも大きいが、分子量の低下は少ないことが分った。これは、造核剤によりPPの結晶化度が上り、伸びに寄与している球晶間を結んでいるタイ分子鎖が短いためと考えられる。しかしながら、照射は、自然環境下でのPPの分解を促進するのに効果的であることが分った。
吉井 文男
放射線と産業, 0(63), p.30 - 35, 1994/00
ポリプロピレン(PP)の耐放射線性を評価するために、原料、成形加工条件及びガンマ線と電子線の線質効果といった各々の条件が照射効果にどんな影響を与えるかといった研究を行い、得られた結果をまとめたものである。PPの劣化は放射線酸化によるものであり、原料の単独重合体、共重合体及び添加物の造核剤と、急冷及び除冷による成形条件による結晶構造と酸化との関係を調べ、耐放射線PPを調整するための条件を見い出した。
吉井 文男
J. Radiat. Steril., 1, p.171 - 194, 1993/00
医療用具素材の照射劣化について、特にポリプロピレンは照射に対し極めて劣化しやすい。本報告では、ポリプロピレンの劣化の抑制法について、これまで報告したデータを中心に総説としてまとめた。1)電子線滅菌はガンマ線滅菌に比べ酸化が起きにくいので劣化が抑制できる,2)ポリマーのモルホロジーの観点から抑制法を見出した。プロピレンにエチレンを2~8%共重合した共重合体と成形後急冷により得た試料は、耐放射線性に優れている。ポリプロピレンの透明性と成形サイクルを上げるために添加する造核剤は劣化を促進するので、放射線滅菌を目的とした場合は添加は好ましくない。
吉井 文男
医科器械学, 62(2), p.78 - 86, 1992/02
原研では医療用具素材であるポリプロピレン(pp)の電子線とガンマ線の照射劣化の比較と耐放射線性を上げるための研究を行っている。電子線照射はガンマ線よりも照射中の酸化劣化および照射後の経時劣化が少なく、その違いは化学発光法による酸化量の測定から明らかにした。耐放射線性の高いppは、エチレンと共重合した共重合体、高分子量ppおよび成形後急冷によって得たポリマーであることが分った。以上の結果をもとに医療用具素材の照射効果からみた電子線滅菌についてまとめた。
Z.A.Kadir*; 吉井 文男; 幕内 恵三; 石垣 功
Radiation Physics and Chemistry, 39(6), p.535 - 539, 1992/00
ポリプロピレンには、透明性と剛性を上げるために各種造核剤が添加されている。この造核剤によるポリプロピレンの耐放射線性について調べた。照射による酸化劣化は、造核剤により促進される。通常良く使われるポリプロピレン(MFI=15~20)では、滅菌線量の25kGy照射で耐放射線性の指標である伸びがほとんどなくなる。この造核剤添加ポリプロピレンは球晶サイズの小さい微結晶から成る。したがって、結晶の界面で劣化するポリプロピレンは、照射により結晶内に生成したラジカルが短時間のうちに界面に移るために劣化しやすくなるものと考えられる。
石垣 功; 吉井 文男
Radiation Physics and Chemistry, 39(6), p.527 - 533, 1992/00
医療用具には種々のポリマーが使用されているが、本論文ではポリプロピレンを中心に放射線滅菌における電子線と線による照射効果について述べる。ポリプロピレンは、電子線照射の方が線よりも酸化劣化が少なく、これは化学発光量の測定から明らかにした。線では、試料の表面と表面より深いところまで酸化するのに対し、電子線では表面でのみの酸化であった。ポリプロピレンの耐放射線性を上げるには、エチレンを添加した共重合体、高分子量ポリプロピレンおよび溶融成形後急冷により得た試料であることが分った。
吉井 文男; 須永 博美; 幕内 恵三; 石垣 功; K.Bahari*
医科器械学, 61(9), p.387 - 392, 1991/09
比較的分子量の高いポリプロピレン単独重合体とプロピレン共重合体の電子線照射によりタングステン板から発生した交換X線による放射線損傷が電子線とガンマー線の場合と比較した。ポリプロピレンには照射中と照射後の保存中の二つの劣化がある。その劣化はX線、電子線及びガンマー線とで大きな差はないが、電子線に比べるとわずかにX線の方が劣化しやすい。放射線酸化は、ガンマー線X線電子線であり、これはそれぞれの照射の線量率と良く対応し、酸化が最も起きにくい電子線が最も劣化しにくかった。材質損傷では酸化でみられるようなガンマー線とX線との差は認められなかった。以上の結果から、電子線照射による変換X線は材質損傷が電子線とガンマー線と比べ大きな差がなく、透過力もあることから医療用具の放射線滅菌の有用な方法となると考えられる。
S.H.Aziz*; Z.A.Kadir*; 吉井 文男; 幕内 恵三; 石垣 功
Angewandte Makromolekulare Chemie, 182(3104), p.187 - 191, 1990/00
被引用回数:1 パーセンタイル:10.78(Polymer Science)ポリプロピレン(PP)樹脂を用いた医療用具は、製品の透明性と成形サイクルを上げるために造核剤(NA)を添加するが、そのNAの照射PPの融解挙動と分子量への影響について調べた。分子量は線量とともに著しく低下するが、造核剤の共存する系ではNAのない系に比べ低下しやすい。最初の融解(1st run)の結晶融点(Tm)は、NAの添加により分子切断が起きやすいために著しく低下する。さらに1st run後、温度を下げ結晶化し測定した(2nd run)Tmは、1st runと異なりNA添加の方が高い。これはNAが共存すると分解しやすくなって分子鎖が短くなるために結晶化の時に分子鎖の再配列が起きやすくなるためと考えられる。
吉井 文男
放射線化学, 0(48), p.34 - 37, 1989/00
ポリプロピレン(pp)は医療用具素材としてよく使用されているが、放射線滅菌を行った場合に著しく劣化する。そこでその劣化の機構と劣化の防止について述べる。劣化は酸化量の少ない電子線照射の方が線よりも少ないことが化学発光分析から明らかにした。ppには成形物の透明性と成形サイクを上げるために造核剤が添加されるが、造核剤は結晶サイズを小さくし、酸化を起きやすくするために耐放射線性は低下する。これらの事実から、劣化の防止に関しppの結晶構造に着目した結果、結晶化度を下げることが有効であることが分かり、そのいくつかの防止法を述べた。
吉井 文男
東北電子産業レポート, p.45 - 47, 1988/07
本報告は、ポリプロピレン(PP)の酸化劣化の研究に対する化学発光法の有用性について、すでに報告した研究成果の一部を述べたものである。PP樹脂は空気中で線照射を行うと酸化のため機械的性質が著しく低下する。この劣化の程度を評価するために酸化量を定量的に測定する方法を検討した結果、化学発光法が極めて有効であることが分った。
吉井 文男; 幕内 恵三; 石垣 功
Polym. Commun., 29(5), p.146 - 148, 1988/05
ポリプロピレン(PP)は照射中の劣化のほかに照射後の保存中にも劣化することが知られている。本報告では、経時劣化と照射前の分子量との関係を明らかにするために分子量の異なるPPの経時劣化を調べた。経時劣化は分子量に大きく依存し、分子量が大きいほど経時劣化が少ないことが分かった。これを酸化劣化と関連づけ考察すると、高分子量PPほど結晶化度が低いためのケミルミネッセンス装置で測定した酸化量は少なかった。したがって、これらの結果から、PPを成分とした医療器具は、分子量が大きい方が放射性減菌に適していると考えられる。
吉井 文男; 幕内 恵三; 石垣 功
医科器械学, 57(2), p.59 - 64, 1987/02
照射後の保存中の劣化が起こりにくいエチレン鎖を含む共重合ポリプロピレン(CPP)とハーキュレス社のポリプロピレン(profax)の固体構造をX線と粘弾性測定により調べた結果、保存中の劣化が激しいポロプロピレン(PP)に比べると結晶化度が低いことが明らかとなった。また成形において急冷により調製した低結晶化度のPPとCPPいずれも徐冷試料に比べて保存中の劣化が著しく小さく安定であった。保存中の劣化挙動は、パーオキシラジカルの減衰曲線とよく対応し保存劣化の少ない急冷試料は、徐冷試料に比べて照射直後と保存中のラジカル量が著しく少なかった。したがって、PPの経時劣化を防止するにはPPの結晶化度を下げることが有効であると結論できた。
吉井 文男; 幕内 恵三; 石垣 功
Polym.Commun., 28, p.278 - 280, 1987/00
耐放射線性のよいポリプロピレン(PP)を見出すために分子量の異なるPPの照射による劣化を調べた。分子量の比較的低いPPは50kGy程度の照射で全く破断伸びがなくなり、著しく劣化しやすい。一方、高分子量PPは、照射中にわずかに劣化し、50kGyでは80%の残留伸びがあった。その試料は放置による劣化が3ヶ月を経過してもほとんど認められなかった。これらのポリマーのモルホロジーは、高分子量PPにおいては分子鎖が永いために成型における結晶化が抑制され、結晶化度が比較的分子量の低いPPよりも低いことが明らかとなった。